実家の母について(1)

私の母はよくしゃべり、よく笑い、背筋はまっすぐ良く歩く、おしゃれも外出も大好きな人です。

ただ「最近夜になると眠れないのよ」とこぼします。

母は月に一度、私達夫婦の家に泊まりに来るのをとても楽しみにしていました。

夫との仲も良く、三人でご飯を食べたりテレビを見たりしながら穏やかに過ごす時間は母の大のお気に入りです。

「たまにお父さんの顔を見ないですむのはうれしいわ!手を濡らさないでご飯が食べられるなんてありがたいわね。」

母の不満は父が母をかまってくれない事。

家事を一切手伝ってくれない事。

父の実家の土地の事。

父が相続で譲り受けた土地が今大変だ、と言うのです。

電車の線路沿いにある車も通れない細い道路に面した崖の上の土地。

その土地から一本の大きな木がせり出して、線路に向かって下に伸び続けています。

「その木を早く切らないと、台風や大雨で木が折れて線路に落ちたら危ないのよ!」

母は毎日その事が心配で眠れなくなりました。

「あんな価値もない田舎の土地なんてもらわなければよかったのに!」

「ひとつも良いことなんてないのよ、子供達に迷惑がかかるだけなんだから。」

「お父さんにいくら言っても「お前は口を出すな」って聞いてくれないの。」

何度もその話しは聞いていましたが、「父が何とかするしかない」と思っていました。

ところがある日、とうとう役所から「危険だからすぐに木を切ってください」と言われてしまったのです。

母の心配していた通りになってしまいました。

土地の外にはみ出して、大きくせり出し伸び続けた木。

その木を切るのにはクレーン車を出さないと切れないと言われ、一本の木を切るだけで百万円。

年金生活者には大きい金額です。

父と母は大げんかになりました。

父も古い人間ですから先祖代々の土地をなかなか手放せなかったのでしょう。

母は「心配していた通りになったじゃない!あれほど言っていたのに!」と腹が立って仕方がありません。

すったもんだしたあげく、親戚の人に業者の手配をしてもらい無事に木を切ることができました。

しかし、これをきっかけに母の不眠症はさらにひどくなっていきました。

#母の介護#認知症#不眠症#田舎の土地

実家の母について(1)” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です